大河道 雷刃の雑想録

「評論家の言うことを信じてはいけない。何故なら評論家が讃えられて彫像が作られた事など一度もないのだから」 ジャン・シベリウス(作曲家)

大空港・何故か記憶に残りにくい一作

大空港

そこには人の出会いがあり、別れがある

人生の始まりがあり、終わりがある

そして時に様々な人間の欲望が渦巻き犯罪が侵入し、また脱出しようとする

これは、この大空港と大空とを命を賭けて守る男たちの物語である

(オープニングナレーション)

1978年から放送された刑事ドラマ、「大空港」。どうもこれが日本映画専門チャンネルで近日放送されるようで、これについて少々書いてみたくなりました。本放送、私は生まれていません(笑)。なので初めて見たのはホームドラマチャンネルがスカパーのベーシックプランに入った頃になります。だから7~8年は経っているし、その間他のチャンネルでの再放送もありませんでした。もうナンバー2が緒形さんから田中邦衛さんに代わった頃だったので、序盤は見れていないのです。このドラマの舞台は空港特捜部という架空の部署。空港と言いながらもどこかオーソドックスな雰囲気の刑事ドラマだった記憶が強いですね。メンバーは...

・加賀部長(鶴田浩二)

階級は警視。元特攻隊の生き残り。特攻で散った戦友達への生き残った事の慚愧の念を常に抱いて日々の捜査に挑む故に未だ独身を貫いている。部下からは階級呼びではなくチーフと呼ばれている。

・梶警部(緒形拳)

すみません、この時期は見ていないのでパスさせて下さい。14話で殉職します。早期の降板は鶴田さんと合わなかったから、とネットの噂で聞いたり聞かなかったり。

・藪下警部(田中邦衛)

(15話から)梶警部の後任でナンバー2のポジション。加賀の元部下で、加賀からは「ヤブチョウ」と呼ばれる。演者のイメージ通りの直情型で口より先に手が出るタイプ。しかし加賀の不在時はメンバーをまとめあげる姿を見せる。

・鯉沼刑事(中村雅俊)

血気盛んな若手刑事。正直見た目とキャラが「俺たちの勲章」のアラシとほぼ同じです。しかしこちらは上司が厳しくも理解がある人なので幾分良かったのかも。36話で爆弾を積んだセスナの中で犯人と格闘の末、機体が山の中腹に激突し殉職。

・神坂刑事(片平なぎさ)

特捜部の紅一点で愛称は「ノンコ」。結構現場に出てアクションしていたような記憶が...片平さんの華やかさは劇中の清涼剤でした。51話で海外に転任するも、76話でテロリストが車に仕掛けた爆弾で死亡したことが新聞の記事で特捜部に知らされる。

・立野刑事(岡本富士太)

落ちついた印象の刑事で射撃の腕は特捜部ナンバー1。オープニングでも銃を構える姿を見せています。水島刑事に想いを寄せるも、最終回でテロリストに見せしめとして射殺される。

・海原刑事(高岡健二)

これまた血気盛んな刑事だったような...ヘリの免許を持っているので、上空からの捜査や捜索をすることも。加賀以外で初回から最終回まで生存した唯一の登場人物だったりします。

・菊地刑事(黒沢年男)

(37話から)鯉沼の後任。やることなすこと全て無鉄砲なのでついたあだ名は「バクダン」。妻を麻薬犯罪で失ったので麻薬を激しく憎む。「太陽にほえろ!」で言う所のゴリさん的なポジションだったような。最終回で事件の重要参考人を庇いテロリストに射殺される。

・西條刑事(永島敏行)

(38話から)元沖縄県警刑事。空港で働く妹が事件の犠牲になり、妹が働いた空港を守りたいという思いから空港特捜部に転属を願い出る。55話で婚約するも 、追っていた事件の犯人が奪ったパトカーの天井に飛びつくが天井越しに撃たれてしまい、銃撃戦の末に殉職。

・水島刑事(石川さゆり)

(52話から)元SP。サッチャー大統領(当時)の護衛も務めた経験の持ち主で、投げナイフを使う。特捜部での初仕事が修道女としての潜入捜査だったので「シスター」と呼ばれる。加賀に想いを寄せ、最終回でテロリストに特攻する加賀へ愛を告白する。

・紺野刑事(三浦浩一)

(56話から)西條の後任。所轄での命令無視や問題行動を数多く起こしていた厄介者。あちこちピョンピョン駆け回る姿から加賀に「まるでバッタだな」と言われそれがニックネームに。とにかくヘアスタイルの乱れを気にしている。

 

と、人物紹介はこんな感じ。ちなみに当時まだ放送していた「Gメン'75」の「香港カラテシリーズ」を意識していたかどうか解りませんが、「特捜部VSヤクザ」という連作シリーズがあったりします。ところで人物紹介を終わりまで読んでくれた方はお気づきかと思われますがこのドラマ、殉職が多い!特に最終回の脚本は必殺シリーズで仕事屋、仕置屋稼業、新仕置人の最終回を書いた村尾昭。この方がよく書かれるギリギリまで追い込まれながらも死中に活を求め、命を掛ける登場人物の姿は作品のジャンルを越えて一貫しているのではないでしょうか。他にも脚本は池上金男(池宮彰一郎)、刑事ドラマを数多く執筆した長野洋と「江戸シリーズ」に多数参加した佐藤繁子が主だった所。監督陣は五社を渡り歩いた井上梅次、巨匠・舛田利雄に「西部警察」や「あぶない刑事」で腕を振るった長谷部安春、「太陽にほえろ!」を長年支えた児玉進などが登板。この頃は銃に興味が無かったので何を使ったか、なンてのもあるのでとりあえず放送が楽しみです。

本日、ここまで。

(文中敬称略)


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