大河道 雷刃の雑想録

「評論家の言うことを信じてはいけない。何故なら評論家が讃えられて彫像が作られた事など一度もないのだから」 ジャン・シベリウス(作曲家)

プリキュアにおいてのジェントルとは(パッションも少し)

はい、どうも。腰を痛めたらなんだか手を動かすのが少々難儀になってしまいちょっとばかり休んでおりました。

今日からデリシャスパーティプリキュアの追加メンバー、キュアフィナーレが登場してSNSで盛り上がりを見せておりました。
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普段の姿は生徒会長、菓彩あまね。
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その前の姿は敵のブンドル団の一員、ジェントルー。
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(画像は公式サイトより)

ここで今更ながら女の子キャラなのに名前がジェントルなのはどういう事かと思い、ジェントルの意味を辞書で引いてみると、

ジェントル

〘形動〙 (gentle) 性格、態度がおだやかでやさしいさま。(日本国語大辞典より引用)

とあります。なるほど、劇中で「あなたは本当は優しい人です!」と呼びかけられる台詞の意味がここで納得できました。ジェントルという言葉は一般的にそこから連想される「紳士的」だけの意味ではないのですな。

そこで思い出したのがハードボイルド文学の大家レイモンド・チャンドラーが創造した私立探偵フィリップ・マーロウのこの言葉。

「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」(『プレイバック』)

原文は「If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.」

作中のヒロインから、「あなたの様に強い(hard)人が、どうしてそんなに優しく(gentle)なれるの?」と問われて。

清水俊二訳は「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」(『プレイバック』(早川書房、1959年10月)第25章)。

生島治郎訳は「タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない」(『傷痕の街』(講談社、1964年3月)あとがき)。

矢作俊彦『複雑な彼女と単純な場所』(新潮文庫、1990年12月)では、「ハードでなければ生きていけない、ジェントルでなければ生きていく気にもなれない」が正しいとしている。

(ウィキペディアより引用)

ちなみにこれまた有名と思われる

「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」(『大いなる眠り』)

という台詞は「コードギアス 反逆のルルーシュ」でルルーシュの台詞で引用されていたみたいですね。なんだかんだで今も続く超人気作なのに、わたしは未だに見ていませんが…嫌いという訳ではありませんよ、念の為。

そしてこれから気になるのがプリキュア追加戦士あるあるのいわゆるポンコツ化があるのかどうか。例えばプリキュアの歴史における初の敵幹部からプリキュアになったキュアパッションこと東せつなは敵幹部のイースの時は冷たい表情で「私は人の笑顔を見ると虫酸が走る!」なんて台詞を言っていたのが…

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キュアパッションになってからは「精一杯がんばるわ!」が口ぐせのひたむきな天然キャラになりました(せつなは別世界から来たので一般常識を知らないというのもありますが)。

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それもまあ私は楽しみの一つではあります(笑)。余談ですが、パッションという言葉には一般的な意味の「情熱」の他にもうひとつ「贖罪」という意味もあったりします。

ジェントルーのキャストが発表された段階でこのキャラはプリキュアになると思った人は実際多かったのではないでしょうか。まして演じるのが茅野愛衣さんとあってはなおさらです。茅野さんは元々の穏やかな声質もあって近年は母親を演じる事もあったりしますが、一方で苦悩・煩悶・懊悩と言った感情の爆発や発露の演技も実に刺さります。なので苦悩を越えて悪からプリキュアに生まれ変わる役には実に適役だったのでは、と思う次第。

そういえば茅野さんの出世作、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」で共演した戸松遥さんと早見沙織さん。このお二方もプリキュアに出演されていましたが、どちらも追加キャラでした(キュアフォーチュンとキュアフェリーチェ)。偶然の一致なんでしょうがね…何かを感じます(笑)。といった所で

本日、ここまで。

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