大河道 雷刃の雑想録

「評論家の言うことを信じてはいけない。何故なら評論家が讃えられて彫像が作られた事など一度もないのだから」 ジャン・シベリウス(作曲家)

すき焼きの正月

明けましておめでとうございます。今晩我が家の夕食はすき焼きでした。本来そう言う予定ではなかったものの、年末○協さんに頼まれて少し高めのすき焼き用牛肉を買うことになったので年始三が日のうちにやる予定だったとか。私は知りませんでしたが。

父と妹は旨いものを食べる事が出来ればそれ以外は拘らないタイプ。逆に私と母は色々こだわって更に美味しくしたいタイプ。せっかくいい肉があるのに一気に他の具材と煮込んでそのまま食べるのは勿体ないと思い思案していた時にふと池波正太郎さんのエッセイに出てきたすき焼きの食べ方を思い出しました。

それはまず鍋に肉だけ煮て牛肉本来の旨さを味わったら鍋をさっと洗ってそれから通常通りにすき焼きを作るというもの。今回すき焼きのタレがなかったので醤油と砂糖だけで味を調整する関西風で調理しました。

いざ調理というときに半ば強引に母と共謀して肉を焼き初め、「せっかくいい牛肉なんだから」と二人を押しきりみんなで食べてみさるとやはり脂の旨味や肉の歯ごたえが普通に食べるより解る感じがしました。他の具材の旨味が一切入らない純粋な正に肉の味。洗うのは少し骨だったのでクッキングペーパーで鍋をざっと拭き取ったらあとはスタンダードなすき焼きで。

確かにこういう食べ方をしないと本当の美味しさと言うのは下手をすれば生涯解らないのかもしれません。池波さんのエッセイでふと閃いていつもと違う食べ方で味わって正解だったかも知れません。ああ、旨かった。