刑事ドラマ・テーマ曲の女声コーラスについて思う
はい、どうも。今回は何の気無しで久方ぶりに「ダーティハリー2」のOPを聴いたら女声コーラスを使った曲がままあるよな、と思い書いてみるかと思った次第です。
まずはそのダーティハリー2(日本公開1974年)。手に握られたままのハリーの愛銃M29にカメラが少しずつ向かっていきながらクレジットが流れやがて指がハンマーを起こし、銃口が画面に向くと…
「これが44マグナムだ。最高のパワーを持ったピストルで、一発でお前さんの頭を吹っ飛ばせる。試してみるか?」
ここから始まるはみ出す正義と暴走する正義がぶつかるこの映画、シリーズの音楽担当はラロ・シフリン(3作目は除く)で知名度の高い代表作を挙げると
・刑事スタスキー&ハッチ
が主だった所。スパイ大作戦は今はミッション・インポッシブルと言ったほうが通りが良いのでしょうね。久しぶりに聴くと太く厚い女声コーラスが印象的ないわゆるブラス・ロックな雰囲気の曲。恥ずかしながらラロ・シフリンはジャズ出身だったんですね、知らなかった…この映画で私の好きな台詞は、「見損なってもらっちゃぁ困る」です。
次は大都会 闘いの日々(1976)。大都会と言うとアクションのイメージが強いと思われますが一作目は「普通に幸せで申し訳ありません」と言いたくなるような鋭利な人間ドラマを描いたシリーズです。
OPテーマ曲の作曲は0座標、劇中音楽は日活映画やTVドラマの音楽を多く手掛けた伊部晴美。暴れるギターと地の底から響いてくるような女声コーラスとブラスが強烈で初めてCDで聴いたときにアニソンやその当時のヒット曲しか知らない私にはインパクト大で、一時期毎日出社前に聴いて当時大キライな上司に対峙するための曲として車で流していました(笑)。0座標のメンバー篠原仁志は後に作詞家として
・夢を信じて(徳永英明)
・ダンシング・ヒーロー(荻野目洋子)※訳詞
等を手掛けています。
最後はGメン’75(1975)。昨年世を去った音楽担当の菊池俊輔は幅広いジャンルの映像作品を手掛けた作曲家で時代劇なら暴れん坊将軍、特撮なら昭和の仮面ライダーシリーズ、アニメならドラえもんにドラゴンボール、赤いシリーズやスクール・ウォーズの大映ドラマなど各ジャンルの代表作を上げれば枚挙にいとまがないお方。その本人が生前インタビューで「フルオーケストラでやらせてもらって印象深い」と語っていたのがこのGメン’75。映像も陽炎漂う中1列で歩くGメンの姿に、
「ハードボイルド、Gメン’75。熱い心を強い意志で包んだ人間たち」
のナレーションが重なります。
途中から艷やかなスキャットに変わるのですが、フルサイズは一旦コーラスに変わります。このGメン’75、7年で355話放送されたうち229話から新録版が使われるのですが、すぐ戻されて232話から元に戻り306話まで使われます。何があったのかは私には解りかねますが、新録版のスキャットを担当したのは川島和子さん。宇宙戦艦ヤマトのBGM「無限に広がる大宇宙」のスキャットの方といえば通りは良いでしょうか。個人的にずっと思っていたことは例えるならオリジナルが歌謡曲なら新録版はクラシック、という感じ。こういう音楽の流れはもしかしたらタイアップ的に劇中にヒット曲を流すマイアミ・バイスや、挿入歌の歌詞が英語のあぶない刑事が新しい感覚として支持された辺りでもしかして途切れてしまったのかなと考えてしまったところで
本日、ここまで。
(文中敬称略)