大河道 雷刃の雑想録

「評論家の言うことを信じてはいけない。何故なら評論家が讃えられて彫像が作られた事など一度もないのだから」 ジャン・シベリウス(作曲家)

好きな一本 その4・太陽にほえろ 3回目

遅ればせながらあけましておめでとうございます。
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はい、どうも。今回も太陽にほえろでいきます。今回は第665話「殉職刑事たちよ安らかに」で一つ。この回は視聴者からの殉職した刑事の家族や関係者のその後を知りたいと、いう視聴者の声から作られた回なのだそうです。

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物語は冒頭、ボス宛の封筒が七曲署に届いた所から始まります。

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そこに入っていたのは一冊のスクラップブック。開いてみると…

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マカロニ、
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ジーパン、

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テキサス、

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ボンそこからラガーまでの七曲署で殉職した刑事とその殉職した事件が書かれた記事で埋まっています。もしかしてこれまで殉職した刑事の親族が関係しているのではと推察し、刑事たちを遺族の元へ向かわせます。

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ゴリさんの婚約者だった晴子(水沢アキ)は別の男性と結婚して子供を授かり…

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面識が無いとはいえトシさんはボンの実家がある大阪へ。そこでボンの姉・由紀恵(沢田雅美)から話を聞くことになりますが…

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ボンの義兄(岸部シロー)も交通事故で数年前に世を去っていたことを知ることになります。

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山さんは熊本へゴリさんの父、幸吉(下條正巳)が一人暮らす老人ホームに話を聞きに行きます。口では「親より先に死んだ親不孝者」と言うものの本心は良い息子だと思っていたことを告げ、帰る山さんを引き止め東京での息子の話をしてほしいと頼みます。

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ブルースとデュークはラガーの母親・加代(石井トミコ)の元へ。

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ラガーの後任であるデュークの挨拶もそこそこに話を聞こうと加代へふと目線を向けるブルース。持っていた買い物袋の中身はインスタント食品ばかり。

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そこに思うものがあったらブルース。加代も以前と変わらぬ明るい調子で話を聞きますが…

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デューク「彼女はシロだろう、間違いない。」

しかしどこか反応が鈍いブルース。

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ブルース「あのお袋さん、手料理を振る舞うのが好きでな。買い物袋の中身見たか?インスタント食品ばかりじゃねえか」

表には出さないものの、最愛の一人息子を失った加代の傷の重さを知ったデュークは言葉を失います。

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犯人は親族以外の可能性を睨んだ山さんは警察学校へ赴き、そこで教官をしている長さんと再会します。教官としての日々に充実している話を聞くと、どこからか布団叩きの音が。

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音に向かって歩いていくとそこにはジーパンの母親、柴田たき(菅井きん)の姿が。現在は看護婦の職を離れボスが身元引受人になり警察学校の寮母として生徒たちから慕われています。

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トシさんは今度は広島に飛んでボギーの姉、正子(有吉ひとみ)が働いている飲食店へ。例のスクラップブックのボギーのページを見せると、店内に飾ってあるボギーの写真と一致。そこで弟が死んでもまた事件のヒントをくれたと涙します。そういえばボギーは殉職編の後編でも自身が殺された捜査における証拠が絶望的な状態でもヒントを残してくれましたね。

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山さんは今度は殿下の元婚約者、三好恵子(香野百合子)の元へ。現在は教職へ復帰し同僚の教師からプロポーズを受けていて、日々殿下をへの思いが薄れる事への戸惑いを山さんに告げます。

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捜査で浮かんだ犯人は元警察官の西森(峰竜太)。正義感が暴走し懲戒免職されていたが、殉職者の慰霊祭を狙って浜野警視監(滝田裕介)の命を狙っていました。西森にとって殉職した刑事たちの命を慰霊祭を使って自分自身の出世の道具に利用しようとしている浜野警視監、そして自分を懲戒免職にした事が許せなくなり今回の事件を起こしました。西森の前に立ちはだかるボス。

西森「俺はお前が一番許せん。抜け!腰抜け、さあ拳銃を抜いてみろ!一発で撃ち殺してやる」

ボス「断る」

西森「なに?怖いのか腰抜け!」

ボス「ああそうだ、怖いし死にたくない。俺だけじゃねえぞ、殉職刑事やその遺族もそうだ。」

西森「止めろ下らん!」

ついに拳銃を抜くボス。

ボス「さあ、抜いたぞ」

そして西森に向かって一発!顔へのかすり傷ではあるものの明らかに相手に動揺が見える。銃を構えたまま西森に歩み寄るボス。

ボス 「怖いか?そうだそれが人間だ。誰も殉職したくて死んだんじゃない…死にたくない、生きたいと心に叫びながら死んでいった。だからこそ尊いんだ、だからこそ偉大なんだ。さあ撃て、撃ってみろ」

威圧されて動けなくなった西森にボスの拳が飛ぶ!

(一部色々と端折ってます)

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事件解決して後、ボス宛へ今度は殉職した刑事達の遺族からプレゼントが届きます。

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そして山さんに連れられてたきさんが捜査一課に。今回は旧交を温め直す良い機会になりましたな、という山さんの言葉に「ああ、そうだな」と返すもののボスのラストカットはこの顔。

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なにかこう複雑と言いますか、これまで何人もの部下を殉職させてしまったボスがその罪を改めて自身に突きつけられたような印象も受ける回でした。思えば太陽にほえろでボスほどパーソナルな情報の少ない人物はいないんですよね。おそらくこの時点でいまだ分譲マンションでの一人暮らしで親族もなし。事件の中で元婚約者との哀しい再会位しか男女の話もない。しかしボスはそこにいるだけで正に「太陽」だったのではとも考えたりします。ちなみにここまで親族が出てこなかったマカロニとスコッチは天涯孤独、テキサスは両親が共に死去という事になっています。

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そんな中でボスと山さん以外で一番先輩や同僚との別れを経験してきたのが人がドックでは。登場したときはコメディリリーフだったのに、年月を経てこの頃は捜査一課のまとめ役的存在になっています。

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それにしても年末の渡辺徹さんの訃報には本当に驚きました。それを知って今回この話を書いてみたくなったというのもあります。しかしバラエティなどで殉職時のエピソードや裏話を自嘲的に話される時は少し複雑な気持ちになったりしましたね。私が初めてビデオでラガーの殉職編を見たときはやっぱり思わず泣いてしまいましたし。でも世を去られてしまった今はそういう気持ちも忘れてしまいました。

渡辺徹さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

本日、ここまで。

(文中敬称略)