S70を通称牧ガバに可能な限り寄せてみた結果
刑事ドラマと言えば使われる銃は大抵リボルバーが相場。今までコルトローマン、コルトパイソンPPCカスタム、S&W M586とリボルバーをずっと使用してきた舘ひろしが「刑事貴族」では初めてコルトガバメントのマークⅣシリーズ70を使用しています。
「刑事貴族」は個人として見た記憶はほとんどないですね、世代的なものと言いますか。CSで見たクチになります。録画してもう一度...と思ったら出演者の不祥事で放送中止。まあそれはちょっと置いて劇中使っている姿がどうにか再現出来ないものかととりあえずマルイのシリーズ70とパックマイヤーのM-45C、MEUピストルのマガジンを購入。パックマイヤーはメダリオンなしが正解なのですが、現在は入手がほぼ無理なので断念。
これだけでまあまあ近くなったかなと。実際マガジンはMEUと同じウィルソンコンバットかと思ったらロジャースタイプだったんですね、ずっと間違えてました(恥ずかしい)。アウターバレルも本当はシリーズ70刻印のメタルアウターにしたかったのですが値が少々張るので妥協してそれより少しお手頃なNOWLIN刻印の物に交換。内側も色々弄っていますが今回は割愛。
マルイの金属パーツは亜鉛合金をただ黒染めしたような感じがあまり好きではないので思いきってブルーイングしました。トリガーは鏡面出しまでは無理でもここまで磨けました。
グリップセフティとメインスプリングハウジングも。なんというか、ザラザラな表面をツルツルにしてガンブラックな感じに染めることは出来ました。これがスーパーブルーではなくアルミニウムブラックだったらもう少し青くなったのかも。
ついでにグリップスクリューも。これで大体まとまったかなと思ったら、調べるとスライドとフレームの仕上げはいわゆる「コルトロイヤルブルー」ではなくつや消しのブラスト処理。ブラックスチールで黒く塗るべきか...そうなると折角のロイヤルブルーがもったいないとまた悩みが...本日、ここまで。
(文中敬称略)
追悼・福本先生のカラミ
「五万回斬られた男」こと名斬られ役、福本清三さんが世を去られました。
大ワルと最後まで残っている斬られ役を「カラミ 」と呼ぶそうで、今回は松平右近事件帳から福本さんが最後までカラミで残った二本を選んで書いてみます。
第一話「薮太郎参上!」より。この回、おそらく福本さんは二回斬られています。一度目は屋内画面手前から奥の右近に向かって叫びながらダッシュで突っ込むも返り討ちに合い凄いスピードで倒れるも、梁の影で姿が潰されて見えません。そしていつの間にか殺陣に混じっていると右近が振り向き様に刀を二度振るうともんどりうって背中からバタリ。正に見事の一言ですね。
続いて第四話「怪盗暗闇吉三」より。ここでも最後の二人に残って斬りかかって返り討ちにあうと...
代名詞の海老反り!残念ながら永井秀明さんに隠れて見えませんが(笑)。そこから力が抜けるようにスッと倒れます。録画したディスクに入っている話を探した結果この二本が目立つかなと思い選びました。
これは未確認なのですが、数年前たまたま通販番組で里見浩太朗さんが愛用者のご意見での紹介映像でおそらく一分足らずほど長七郎に扮して殺陣を披露しているのですがそのカラミが福本さんでした。なぜそこだけ確証が持てるかと言うと、海老反りがあったからです。
今日も何の気なしに再放送の東映TV時代劇を見るとそこにはいつものように悪役の福本さんが。亡くなられてもまた会えるので寂しさ、悲しさを不思議と感じないんですよね...ありがとうございました、合掌。
すき焼きの正月
明けましておめでとうございます。今晩我が家の夕食はすき焼きでした。本来そう言う予定ではなかったものの、年末○協さんに頼まれて少し高めのすき焼き用牛肉を買うことになったので年始三が日のうちにやる予定だったとか。私は知りませんでしたが。
父と妹は旨いものを食べる事が出来ればそれ以外は拘らないタイプ。逆に私と母は色々こだわって更に美味しくしたいタイプ。せっかくいい肉があるのに一気に他の具材と煮込んでそのまま食べるのは勿体ないと思い思案していた時にふと池波正太郎さんのエッセイに出てきたすき焼きの食べ方を思い出しました。
それはまず鍋に肉だけ煮て牛肉本来の旨さを味わったら鍋をさっと洗ってそれから通常通りにすき焼きを作るというもの。今回すき焼きのタレがなかったので醤油と砂糖だけで味を調整する関西風で調理しました。
いざ調理というときに半ば強引に母と共謀して肉を焼き初め、「せっかくいい牛肉なんだから」と二人を押しきりみんなで食べてみさるとやはり脂の旨味や肉の歯ごたえが普通に食べるより解る感じがしました。他の具材の旨味が一切入らない純粋な正に肉の味。洗うのは少し骨だったのでクッキングペーパーで鍋をざっと拭き取ったらあとはスタンダードなすき焼きで。
確かにこういう食べ方をしないと本当の美味しさと言うのは下手をすれば生涯解らないのかもしれません。池波さんのエッセイでふと閃いていつもと違う食べ方で味わって正解だったかも知れません。ああ、旨かった。
渡哲也・さすらいの弧影
今年は辛い訃報が多かったですね。先日時代劇専門チャンネルで今年世を去った渡哲也の追悼企画で主演作の長編時代劇「四匹の用心棒」シリーズ全5作が放送されました。
渡哲也と時代劇はイメージがやはり大都会や西部警察、日活時代の「無頼」シリーズのイメージが強くてなかなか結び付きにくい印象です。全く無い訳ではないんですけどね。近藤勇と土方歳三をやっているし、途中降板とはいえ大河で勝海舟もやっています。
全五作が大体140分くらいなのでかなりのボリュームがあります。一作目は藤堂四兄弟の物語ですが、二作目からはキャラクターはそのままでかかし半兵衛こと金子半兵衛に変わって行く先々で陰謀に巻き込まれそこで知り合った面々と共に立ち向かうのが基本の流れ。そしてその裏には老中水野忠邦(丹波哲郎)の影が常に覗く...という展開。
何故かかし半兵衛かと言うと片足を常に引きずっているという設定のため。これは渡自身が足の怪我の影響で実際に足を引きずっているのもあるようです。
出演者も豪華で敵方で舘ひろしや中条きよし、村井国夫。ヒロインに片平なぎさ、名取裕子、秋吉久美子、小手川祐子、十朱幸代。各作品での仲間の用心棒には夏八木勲、若林豪、勝野洋、綿引勝彦、松崎しげる、井上順、秋野太作など。そして神田正輝も二作に友情出演。
嬉しかったのは西部警察で共演していた庄司永健と武藤章生の出演。大物になると素浪人の役所広司、侠客の梅宮辰夫や忠臣蔵でお馴染み脇坂淡路守を演じる萬屋錦之介が渡哲也と貴重な共演を見せてくれます。
硬軟織り混ぜたキャスティングだけでなく毎回ガトリング砲や火縄銃の嵐をかいくぐり斬り合う壮絶な殺陣は「ワイルドバンチ」を思わず想起しました。
仲間を喪い、満身創痍になりながらも半兵衛は陰謀の首魁を討ち果たす。しかしそこには死屍累々の屍の数々。
一作目、二作目はほぼ同様のラスト。また何処へと去り行く半兵衛に「おじちゃーん!」と関わった少年の呼び声に足を止めるも、それを振り切るように歩き出す半兵衛の姿はやがて主題歌「風蕭蕭と」と共に消えて行きます。
口を真一文字に結び黙って彼方へ歩く姿に俳優・渡哲也と人間・渡瀬道彦の生きざまを何処か垣間見れたような気がしました。
何となく始めた拙いブログですが、お読みいただきありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。
今年はこれにて撃ち止め、よいお年を。
(文中敬称略)
追悼・なかにし礼(その二)
昨日の続き。今回は心に残っている曲を語らせていただきます。
・不思議な夢(石原裕次郎)
「新・座頭市」第1シリーズの主題歌。作曲は村井邦彦。この曲を歌っている石原裕次郎がゲストの「月の出の用心棒」も忘れがたい回で、恥ずかしながら初めてこの曲を聴いたとき思わず泣きました。あの頃の私はきっと市の心情風景を勝手に想像したんでしょうね。CDを買ったときはしばらく毎日聴いていました。
・時間よお前は...(石原裕次郎)
西部警察PARTⅡの主題歌で作曲は浜圭介。世間的には前作の「みんな誰かを愛してる」がメジャーだと思いますが私はこの曲です。計らずもまた石原裕次郎の歌となりました。苛烈な銃撃戦と爆破の後に流れる哀愁を帯びた歌詞と甘い歌声は全てを丸く収めてくれる説得力を持っていたと思います。28話「涙は俺がふく」では同名の挿入歌も作詞されています。
ウィキペディアで作品リストを見ると活躍された時代もあるのでしょうが、なかにしさんはタイアップ曲が非常に少ない印象です。生前「常にどこかで意識していた」と言っていた阿久悠さんとは真逆と言いますか。阿久さんが時代を詞にしたならなかにしさんは物語を詩にして紡ぎ続けたのかな、なんて書きながら思いました。後年小説も手掛けられたのもその延長線上だったのかも。私より曲を聴いているであろう両親になかにし礼の詩で何が好きかと聞いたら「グッド・バイ・マイ・ラブ」でした。本当はオリジナルを貼るべきなのでしょうがたまたまYouTubeで見つけたこれがなんか良かったのでこっちでご容赦を。改めてなかにし礼さんのご冥福を心よりお祈り致します。
(文中一部敬称略)
追悼・小松政夫
コメディアンで俳優の小松政夫さんが12月7日に世を去られました。今回は自分なりの思い出深い作品を振り返ってみようかと思います。
まずは新必殺仕置人十六話「密告無用」より。
冒頭、何処からか調子の良い声が聴こえてくると声の主はかって主水の下っ引きだった亀吉。
どこからか持ってきた長椅子にヒョイと上がって「物干音頭」を熱唱。これはご自身が出された「デンセンマンの電線音頭」のパロディでしょうね。
そこを主水に足を払われてズデンと転倒。「下らねえ事をしやがって、後で来い!油を絞ってやる」と一喝。
「偉そうに。後で言いつけてやる!」
新必殺仕置人はシリーズ10作目の節目というのもあってか、この前の回に暗闇仕留人の妙心尼(三島ゆり子)がなりませぬのフレーズと共に登場してファンサービスの赴きを感じます。
続いては影の軍団Ⅱ三話「戦慄!いけにえの館」より。
ここでの小松さんの役は新発田班藩主・溝口真葉。家老平沼多十郎(南原宏治)の「備えあれば憂い無し」の言葉に乗せられるがままに南蛮渡来のガトリング砲を買おうとします。この家老平沼、実はシリーズを通しての宿敵である闇将軍大岡忠光(成田三樹夫)二十六人衆の一人。その大岡の命によって新発田藩を内から潰す指令を受けています。
それを諌めようとした勘定方梶山九郎太(鈴木瑞穂)は藩主の眼前で切腹を命じられ、娘の千恵(佐藤万里)はガトリング砲を持ってきた南蛮人の慰み者になる所を互いにほのかな思いを寄せていたはやて小僧(真田広之)に救われます。そこに新八(千葉真一)たち影の軍団が登場、事の真相を藩主に告げて平沼一味を成敗。
梶山の忠義にようやく気づいた藩主は涙ながらに詫びます。しかしこの一件が公儀に知られると新発田藩の取り潰しは必定、この場で影の軍団以外に真実を知っているのは殿と自分のみ。ならばと梶山はその場で髷を斬り落とし今日限りで武士を捨て、娘と共に江戸を去ります。
この藩主、人物としては典型的な世間知らずの殿様で、無邪気に女中達にガトリング砲を向け空回ししてはしゃいでいる姿は無知・無能を一目で見ている側が理解できる人物像でした。そういう人物だからこそ梶山の高潔な人物像が際立ったのではとも思います。
これはもしかしたら珍しいかもしれない二時間ドラマの出演、火曜サスペンス劇場の人気シリーズ刑事鬼貫八郎の中の一作「沈黙の函」。
小松さんはレコード店店主・茨木辰二役。貴重なレコードのオークションの最中、店に宅配便で生首が届くというショッキングな開幕。
その生首の身元は茨木の息子・周一(阿部サダヲ)。茨木の息子への深い愛を感じる鬼貫ですが、茨木と周一は実の親子ではないことが解ると少しずつ真相が明らかになっていきます。
周一を殺したのは茨木だった。周一の絶縁の言葉を聞いた茨木が周一を刺して雨のなか路上で茫然自失となっている所を知人の芸人が協力して別の場所で死体の胴と首を切り離しせめて首だけでも手元に置いてあげたかった、とここまでの流れを話しているのは芸人。茨木は虚ろな目をしたまま黙っています。話が終わるとおもむろに立ち上がりもうすぐ周一が帰ってくるんです、とミキサーに向かって延々と「周一が帰ってくるから野菜ジュース、周一が帰ってくるから野菜ジュース...」とつぶやき続けます。
二人が連行された帰途、鬼貫は同僚の碓氷に
「なあ碓氷君、純愛という言葉から人は何を想像するのかねぇ」
「そりゃあ、若い男女でしょうね」
「中年の男が息子のような男に恋をすることもあるんだねぇ。生活に追われ、事件に追われ続けている我々にはそこが中々見えんかった。あの人の、あの一途さが」
義父と養子との親子愛が壊れた話と思いきや性別や年齢を超えた愛が壊れたという真実。正直ラスト近くのミキサーを見つめる表情には狂気すら感じました。
しかし亡くなられたのに不思議と寂しさを感じさせないんですよねぇ。本当にありがとうございました、合掌。
本日、ここまで。
(文中一部敬称略)